▲般若姫婚姻
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13・山路般若姫と婚姻
長者夫婦は、家来二百人ばかりを集めて「このたび姫の病気が速やかに平癒したので、約束通り山路に姫をつかわすこととする。しかしここに一つの望みがある。それは、家人の中から数十人の美女を選び出し、揃いの着物を着せて姫と一緒に、屋敷に並べ見当てるかをためしてみたい」といった。その日となり、山路は装束を改めて座敷に通ってみると、皆一様の衣服を着た美女がずらりと並んでいる。一人家人が「この中に姫がおられるからお当て下さい」といったが、どれが姫やら見分けがつかず、しばらく思案していた。するとどこからか鈴虫が―匹飛んできて、般若姫の髪にとまって金色に光を出した。山路は、これは神様が教えて下さるのだ、と気付いてなおよくよくみると、桃額、蘭姿のこびを含み、世にもたえなる姿をしているので、これを指したところ、長者夫婦をはじめ家人らは大いに驚き、また、喜んだ。婚儀をすることになり、長者夫婦に家人ら残らず列席し、山路を上座に進め親子杯、山路夫婦の三々九度の杯を取り納めて、めでたく式を終え、それから、盛大な酒宴となり皆大いに興をつくした。
野津原弥弥五郎の弟弥四郎と、玉出藤四郎の弟忠三郎は、酔うたあまり「若宮の剣は金であるか木であるか」と、言い争ってそれをためそうとして、剣に手をかけようとしたところ、両人とも五体がしびれて悶絶してしまった。それを見た山路は座を立って「ゆるす、ゆるす」というと、両人は息をふきかえしたが、もう、酔もさめてしまった。山路は長者に向って、「今は何を隠そうか、自分は欽明天皇第四の宮橘の豊日の皇子である。なんじの娘を伝え聞いて、たびたび勅使を下したが、一人娘であるからと辞退したから身をやつして下って来たのである」
と、はじめて身の上を明かしたので、長者夫婦はじめ家人たちは、大いに驚いて「かような高責なお方とは知らず、これまで数々の御無礼の段は、何とぞお赦し下さいますように」とおわび申し上げ、尊い皇子のために、急いで新御殿を造営してお移り願ったという。まことにめでたいことであった。 |
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