JR美祢線は、瀬戸内海の山陽本線厚狭駅から日本海側の山陰本線長門駅を全長48.4キロにわたり結んでいる。石灰石や無煙炭、大理石など豊富な地下資源を求めて、明治38年に厚狭−大嶺間にレールが敷かれたのが始まり。現在、美祢市内には、厚保駅から於福まで7つの駅があり、生活路線として、また貨物路線として利用されている。南から北へコトコトのんびり美祢線の旅を楽しんでみたい。
◆厚保
下りでは美祢市内の最初の駅厚保。ホームに出たとたん、辺りの山々の色が視界に飛び込んでくる。線路は緑の中にゆるやかな曲線を描きながら続いている。何度も何度も厚狭川と交差しながら、川の流れに沿うような形で走る美祢線。川釣りを楽しむ人々の姿も見える。森や林や田圃を抜けて列車は行く。

◆四郎ヶ原
黄緑色の屋根の建物が見えてきた。四郎ヶ原駅だ。山の中の小さな駅のイメージにぴったり。駅前には大きな大きなイブキの木が一本立っている。近くには木製遊具の並ぶ公園があり、手のぬくもりが伝わってくる。のんびりとブランコに揺られたり、田圃の周りをてくてく散歩したり、気ままに時間を過ごしたい。

◆美祢
山と川と田圃が続くのんびりとした風景が賑やかな町の風景に変わっていく。美祢の市街地にある美祢駅は、市内の駅の中では一番大きい。市役所や歴史民族資料館、化石館、ホテルなどにも近い市内観光の拠点だ。昭和38年に「吉則駅」から現在の「美祢駅」に改称された。駅前の大理石のモニュメントが訪れる旅人を出迎えてくれる。

◆重安
車窓から見える削られたセメント色の山はまるで砦のよう。セメント工場の採石場とまわりの自然が一体になって美祢ならではの不思議な風景を作りだしている。工場にとり囲まれるようにして立つ重安駅。エメラルドグリーンの駅舎。待合い室には本棚が置かれ、ここでくつろぐ人々の姿を想像させる。

◆南大嶺
かつて美祢線は南大嶺で分岐していて、南大嶺の駅に着くと、いつも大嶺行の黄色い列車が止まっていた。もともとは美祢で採れる無煙炭を徳山まで運送するため、厚狭−大嶺間に敷かれた大嶺線。12マイル15チェン(19.7Km)の終着駅大嶺にはその数字が刻まれていた。大嶺線は平成9年3月31日で廃止となったが、もともとはその大嶺線を延長する形で布設された美祢線。美祢という町の歴史がそのまま詰まっている。


◆於福
川と国道に並んで走るうち、美祢市最後の駅於福に着く。温泉が湧き、滝が流れ、きれいな小川のせせらぐ水のまちだ。美祢線はこの先、長門市へと続いていく。のんびりと駅前を歩き、石井商店で「おふくまん」をほおばる。昔ながらの炭焼き製法でつくられた饅頭の皮は、とても香ばしく、中の餡の甘味をひきたてる。賑やかな声にふりかえると、学校帰りの小学生たち。古い町並みに黄色い帽子が鮮やかに映えていた。


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